飯豊本山(2102m)

御西岳

 

福島県

 

2012.9.22-23

天候 一日目 曇り

二日目 雨

 

コース 御沢キャンプ場コース

御西小屋一泊

 

単独

 

秋彼岸の連休ではあるが、飯豊に登るためには今年最後のチャンス。

天気予報は、平地も山も一日目「曇り」二日目「晴れ後曇り」

いい登山が出来そうだ(と思っていた)

 

一日目

 

4時起床

一泊山行なので、朝ものんびりと行動する。

パッキングは二日前にしてあり、いつもの装備にシュラフとエアマット、ヘッデンとデジイチが加わるだけで55リットルのリュックはパンパンだ。

あとは行動食と一日目の食料と水とお湯(合わせて2.5リットル)を入れるだけ。

 

420分自宅出発

早朝なので高速道路は使わず、290号線、49号線を走る。

前回の時は西会津に入ってからの道に、地図を見ながらぎこちなく走行したが、今回はナビのおかげで迷う事は無い。

川入集落の細道を過ぎてキャンプ場への林道は舗装工事中だが、日曜祭日は工事をせず通行止めを解除すると言う事だ。

 

7時御沢キャンプ場着

キャンプ場駐車場には30台ほどの車が停まっていた。

工事の影響か連休にしては少ないように思った。

身支度をしていると村の人が声を掛けてきて、

「道路工事で林道を通過できるのは12時から1時と午後5時以降だから注意して。

工事が遅れているから日曜祭日でも工事をするかもしれない」

と言う事だ。

ちょっと予定外だったが、二日目のお昼には下山しようと考えることにして登山口へ向かう。

 

715分 登山口

飯豊の登り口でこのコースは唯一取り付きが登り易いコースだ。

 

 

746分 下十五里

86分 中十五里

832分 上十五里

9時 笹平

922分 横峰

10時 峰秀水

 

一部えぐれた道や歩きにくい所はあるが、ここまでは普通の山道。10人追い越し。

以前来た時は、水場の上を登山道が通過していたが、水質保全のためなのか水場の下部を通過するように道が変わっていた。

 

1051分 剣ケ峰

第一の難所。

ナイフで削ったように切れた岩稜を越えて行く。

鎖はあるが鎖に頼らず、三点確保で登る。

上部は平らなので滑らないように、左右断崖滑ったら一巻の終わりだ。

岩稜の終盤、右手側に三国の水場へ下る道があるがまだ一度も行った事はない。

情報によると水の量は少なく、夏場以降は枯れることも多いそうだ。

 

1110分 三国小屋

ここが弥平四郎コースからの合流点になる。

一休みして食事を摂る間に、一人に追い越される。

出発するとすぐ、足場の悪い急降下となる。

 

アップダウンを繰り返し、七森を過ぎ種蒔山を通過。この辺りから景色が良くなる。

 

1243分 切合小屋

大日杉コースからの合流点。

数人が休憩し食事を摂っていた。山では追い越す人スライドする人、全員に挨拶を交わす。

小屋の水はすでに切られていて、小屋手前のホースのジョイント部分でも水は出ていなかった。

 

1316分 草履塚

本山はガスがかかり見えないものの、下界は景色良好!

日帰りで来た去年はここで敗退した。

今年は一泊なので、焦らずマイペースで行けると思うと余裕が出る。

 

1337分 姥権現

ゼリー・柑橘・お賽銭が上がっている。

供物にピーナッツを上げ、手を合わせた。

息子を探して飯豊に入り石にされた「オンバさま」三姉妹なのだとか。

 

1348分 御秘所

ここがこのコースの核心部か。

高度感のある岩稜を渡る。高所恐怖症の僕はビビリまくり・・・

登りでは岩陵の右手にコースを取り、上部で景色を眺めたりせず慎重に一気に渡る事。

 

最後の胸突き八丁、「御前坂」は緩斜面のガレ場で長い登りが続く。

一王子を過ぎれば本山小屋が見える。

 

1443分 一王子水場

取水口は2箇所。パイプが差し込まれていて綺麗な水が取れる。

しかし水量が極端に少ない上に、落差が無くて利用するには不便だ。

夏場に枯れたからか石の下には水中昆虫が集まっていて、今回はとても飲む気にはなれず。

 

1455分 本山小屋

ここまで来れば、本山・御西へは快適なトレッキングだ。

小屋の中からは賑やかな会話が聞こえる。

飯豊神社と小屋の写真を撮り通過。

 

以前は小屋から本山への区間でイイデリンドウが咲いていたが、今年は間に合わなかった。

 

1511分 飯豊本山 山頂

二年ぶりの「飯豊本山山頂」

ガスで眺望は無いが、僕にとってはここに立つこと自体に意義がある。感無量だ。

 

山頂直下にだいぐら尾根コースとの合流点がある。

だいぐらコースは、自己の記録で8時間コース。

危険個所も何か所かあり、道もあやふやで慣れない人には危ないコースだ。

2回利用したが、僕が下りた時には途中でビバークしたという人がいた。

今は下部の吊り橋が落ちていて沢渡渉となるそうだ。

沢は水流が多いため渡渉ポイントを間違うと大変な事になりかねない。

 

本山山頂では僕一人。セルフで記念撮影をして一休みして御西へ向かった。

 

1541分 駒形山

2006.9.22-23の山行では、ここで「オコジョ」を見た。

この時は撮影に成功したが、今回は姿を見ることができなかった。

しかし、特徴的な前爪3本の引っかき足跡を見つけて気持ちが高揚した。

 

1557分 弘法清水

玄山道分岐から雪渓側へ下降する事数分。

周りはまだミヤマリンドウや白い花が咲くお花畑のなかに、冷たい清水が湧き出ている。

パイプなどは無いので、水場を汚さないよう流れの2段目から水を取る。

 

1650分 御西岳

山頂と言うより緩やかな斜面の通過点。

左手に「御鏡」と言う万年雪がある。

草紅葉が夕日に照らされ綺麗だ。

短い夏が終わりを告げている。

 

1658分 御西小屋

本日のお宿に到着した。テント客は1張り。

御西水場を遠望したり景色を眺めてから、小屋番に挨拶して小屋入り。

協力費は2000

本日は7名の泊り客だった。

インスタントラーメンとおにぎりで夕食、明日の朝食用にアルファ米のご飯を作っておく。

就寝は7時くらいだったろうか。エアマットを敷いても床は硬くて中々寝付けない。

もうそろそろ朝かとスマホの電源を入れると、まだ1044分の表示であった。

 

二日目

 

3時に4名が「大日岳」へ向かうため起床、身支度の音で寝ていられない。

外は一面のガス。スマホで雨雲レーダーを確認すると南から雲が攻めてきて天候は悪化予報だ。

僕を含め3人は大日岳を諦め、朝食後に下山することとする。

 

朝食は、卵スープに昨日午後五時に賞味期限の切れたおにぎりを入れて雑炊にした。

結局アルファ米のご飯は食べずに持ち帰りとなった。

 

540分 出発

三名一緒に小屋を出発する。

二人は「弘法清水」を知らないと言うので、給水がてら案内する。

登山道に戻りこの先は足の速い二人に先行してもらうことにして、僕はマイペースで下る。

早朝の岩場でオコジョは居ないかと注意深く見るが、やはり見つけられない。

小雨の中、本山に到着。本山小屋側から5人の男女が登ってきた。シャッターを押してあげる。

 

本山小屋到着。中から楽しげな会話が聞こえる。

若い男女2名が登ってきた。挨拶を交わしシャッターを押してあげた。

 

御前坂を下り始めると、この雨の中でも何人か登ってくる。

しばらく行くと二人が登山道でないところを登ってくるが・・・ 声を掛けて返ってきた声は、先行していた二人だ。

ガレ場を右手に下ってしまい道を見失って登り返してきたとの事。

周りはガスで前方数メートルしか見えなく進路を誤ったようだ。

坂を下り終えるまで僕が先導した。

 

ここでまた入れ替わり、一人は大日杉へ、一人は御沢キャンプ場へ下山する。以後会う事は無かった。

 

御秘所を通過。

雨で濡れた岩陵は激しく怖い・・・

 

944分 三国小屋

雨のため、時間の確認がわずらわしい。

ここで初めて時間を確認する。

お昼に間に合うよう下山するには悪くないペースだ。

 

剣ケ峰通過。

休んだせいで気が緩み、岩陵を漫然と進んでコースを間違う。

岩の突き当りを左手に行くべきなのに右手に進んでしまい、岩陵の下部に出たところ登山道が無い・・・

進もうにもとても這い上がれる状態ではなく、下ってきた岩場を戻る。

しかし、道でない岩は崩れやすく手も足も掴んだ岩が崩れて確保できない。

冷や汗をかいて無事に上部の道に戻る事ができた。

 

この先も雨の中7人くらいが登ってくる。

中には連続休暇を利用して、小屋での足止めも覚悟で登ってきたと言う人もいた。

いつもの事だが、ハードな山行での下山は長く感じる。

峰秀水で汗を拭き喉を潤す。

 

横峰・笹平・十五里と順調に下り

 

1210分 登山口下山

 

雨具を脱いでも全身ずぶ濡れ。

急いで飯豊温泉に向かう。

林道工事は休みのようだった。

温泉で、汗を流し天ぷらそばとアイスでエネルギー補給をして帰路に着いた。

 

雨の飯豊は長丁場だけに辛いものがある。

だが辛ければ辛いほど、その達成感も大きい。

これは山好きにしか判らない感情だろう。

 

また来るからヨロシク飯豊山。

 

タイム(休憩含む)

 

登り

7時間40(本山小屋まで)

1時間40(御西小屋まで)

 

下り

6時間30(御西小屋から)

 

 

☆あとがき

2006年に初めて飯豊山を日帰りした時もこのコースで本山小屋までだったが、日帰り装備で登り7時間30分、下り5時間15分の記録。

今回はプラス5kgの一泊装備だし自己満足のタイムと思う。

ネット上では20時間で縦走達成や4時間で登頂とかのハイペースの記録ある。

数多くの超人の情報があるが、決してそれを鵜呑みにしてはいけない。

今回も大石ダムから御西小屋まで9時間で来て、そのまま戻る人がいたそうだ。

飯豊は走る山ではないと思う(負け惜しみ)

林道で金属を踏んだらしく、助手席側後部のタイヤがパンク。

取り替えて安全運転で帰宅するはめとなった。タイヤは消耗していたので4本を取り替えた。

雨で55リットルのザックの痛みが激しく、帰宅してから外部を数か所テグスで縫って補強。

内部も鉄板の入る場所がやぶれていて補修した。鉄板は無くしてしまうかなぁ。

 

おわり。

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剣ケ峰を見降ろす

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姥権現(オンバ様)

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御秘所(おひそ)

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ガンコウランの実

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飯豊神社奥の院

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飯豊本山

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本山からの眺望

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弘法清水

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草紅葉が始まった

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地塘のある風景

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御西小屋が見えて来た

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来た道を振り返る

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御西小屋

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御西の御鏡(万年雪)ガスの掛かっている辺りには大きな御鏡がある

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御西の水場を遠望

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ミヤマリンドウ

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ハクサンイチゲ(最後の一株)

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マツムシソウ

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オコジョの糞かと思う

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オコジョの足跡か・・・ 爪の跡3 かなりの勢いで走った様子だ

ヘッポコ登山記録